【研修病院選び方 御法度・第5回】見学の心得

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見学の心得

オススメの見学時間帯

救急外来での研修医の働きぶりを見学するなら夕方の時間帯がよい。救急外来へやってくる患者の受診理由は「かかりつけ医や専門診療科がやっていない」、「かかりつけ医からの紹介」がほとんどだ。開業医の診療時間が終わったのを見計らったように日中には来ないようなcommon diseaseがワンサカやってくるのだ。夜間の救急外来にはいろいろな人がやってくる。意識障害が朝からあったのに動かなくなったからと救急要請する高齢者や、介護施設に入所した途端発熱し様子を見ていたら呼吸困難まで出てきた患者、夏風邪と言われたけど3日たっても熱が下がらなくて…と夜中に来院する母子、ハリソン ® には載っていない “患者がどうやって病院に来るのか” を目の当たりにすることができる。

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現役研修医のココをチェック

病院見学では研修医にピッタリとくっついていることが多い。研修医も事務や研修センター長など上級医から「見学の学生さん、案内よろしく!」と突然たのまれる(丸投げされる)のだ。現役研修医のどこを見ればよいかにもポイントがあるので伝授しよう。
2年間同じ病院で研修する場合、研修には1年目と2年目がある。見学をする時期によるだろうが、4月~7月ごろまでの1年目研修医は学生とほぼ変わらないと思っていい。まだ病院に慣れておらず、自分がどこからどこまですればいいのか、役回りや立ち位置が分かっていないことが多いのだ。
お客様ではないのだから、患者に対してはどこまでも責任をもってやらねばならないのだが、その意識はまだ低いことが多い。案内できるのは院内の設備ぐらいで、研修の実態を語るにはまだ主観的な意見が多い時期だろう。他の研修医からの情報を取り入れて、院内のことをプラスもマイナスも分かってくるのにはある程度時間がかかる。もう少し言及するとその診療科のローテートが始まってどの時期にいるのかにも注目したい。始まったばかりの意見では当てにならないのは察しの通りだ。

では2年目研修医はどうだろう。基本診療科や必須診療科をある程度研修が終わって、自分の将来に向かって選択診療科の研修を受け始めているところだ。敏感な人であれば院内の情報も長短織り交ぜて教えてくれることだろう。長所ばかり教えてくれる人は少し注意したほうがよい。どんな病院だって弱点はある。完璧な病院などない。まだそこまで見えていないのか、後ろ側にいるコワイ存在の影におびえているかどちらかだ。ずばり 「この病院の研修で短所はどこですか?」 と聞いてみると、その研修医にとっても広い視野をもって研修を眺めるよい機会になる。

お家に帰るまでが見学です

見学が終わり自宅に戻ったら研修担当者やお世話になった部署宛てに礼状を書く。なかなか書き慣れない習慣かもしれないが、一般社会の新人研修では“飴玉もらっても礼状を書く”と仕込まれるのが普通だ。礼状の書き方はおそらく別の項目で出てくるだろうから割愛するが、メールまたは手書きで書くのだが、研修事務宛にはメールで書くほうがよいかもしれない。
担当者のレスポンスを見るためだ。研修担当の事務というのが研修医にとっては実はキーマンになっている。研修医の研修状況の把握から見学者の応対まで、非常に重要な役割があるのが事務担当者なのだ。彼らがデキる病院は概して充実した研修を受けられる(これについては重要事項のため後に触れる)。メールの返信が早いか遅いかだけでも事務担当者の研修医に対する身近さや把握度、研修そのものに対する情熱が分かるのだ。
ちなみに手書きの礼状は私が人事担当なら文字や内容で採否の判断材料にしてもいいと思うぐらい重要なのだが、もらう側からするとこれほど嬉しいものはない。手書きの文章というのは考えることも多く時間もかかり手間暇かかる。なかなか そこまでやる人がいないのだから、評価が高くならざるを得ない奥の手 でもあるのだ。

第6回へ続く