【研修病院選び方 御法度・第16回】アドバンスド研修病院選び(2) 教育に力を入れているかどうかは「勉強会」で見抜け! | m3.com 研修病院ナビ

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アドバンスド研修病院選び(2) 教育に力を入れているかどうかは「勉強会」で見抜け!

 教育に力を入れている病院は全国に多々あると思われる。「院内で研修医向けの勉強会を定期的に開いています」と謳っているところもあろう。定期的な勉強会で何を教えるべきかは、研修医にとって必要な知識か否かという観点で選別することができると思うが、誰が教えているか?について少し突っ込んで言及してみたい。


勉強会の講師は誰だ?

 勉強会を主催するのは研修センターであったりすることが多いのだが、その講師は誰が担っているだろうか。院内の実力派ドクターが講師の場合もあろうが、本当に教育に力を入れている病院は院外から講師を呼ぶ勉強会が多い。院外から講師を招待するとお金がかかる。謝礼に加え、交通費や宿泊費もかかってくる。そんな簡単な額ではないのは間違いない。年に1人だけ呼ぶのでは効果が薄いから、何人も呼ぶことになるとかなりの額になる。しかし、それでも院外講師を招いている病院というのは、それだけ教育に予算を割いている、よほど教育に熱心な病院だと言ってよいのだ。

 「本来教育なんて紙とペンがあればできるお金のかからないものだ」、「そこにお金をかけるなんて馬鹿げている」、「できるだけ安くあげたい」というのが本音なのかもしれない。病院として負担の大きいことはしたくないと考える事務方を説得するのは骨が折れることだ。

脱・井の中の蛙教育

 なぜ院外から講師を招待して勉強会を開く病院がよいのかというと、歴史の長い病院には独自のローカルルールでコリコリに固まったところがどうしてもある。そこで長いこと勤めていると、その病院での医療こそが真実であり定番!と思い込みがちになる。研修医は何も知らないから、「それだけ知っていればいいんですね」と素直に信じこんでしまう。外からの風が吹かないと「え?自分たちがしていたことって世界の標準から外れていたの?」と気付くこともない。

 研修医だけではない。教え方の上手な先生の話というのは誰が聞いても非常に“気付き”が多い。上級医が聞いても「毎年来られているが聴講して良かった」と思えるのである。院内だけの勉強会に終始していると、知らない間に井の中の蛙になってしまうから院外講師を積極的に呼んでいる病院を探すのがよいと言えるのだ。(もちろん誰を呼んでもよいわけではないのだが敢えて言及を避ける)

研修医主催の勉強会

 次に着目すべきは、「いかに研修医に教えさせる機会を設けているか」である。一般的に、人に1教えようとするには10の知識がないといけないと言われる。それだけの深さ、広さがなければ、なかなか人に分かりやすく教えることはできないのだ。研修医に勉強会の講師をさせると、それだけ研修医自身が深く学ぶことになる。講義を聞くことでの学習効果は5%、自分で本を読んで得られる効果は10%程度だと言われる。ところが、他人を教えることになると学習効果は飛躍的に高まると言われているのだ。まさにto teach is to learnである。そう考えると、ただ上級医が講義をするのではなく、いかに研修医たちに教えさせる機会を設けているかがポイントになる。

(福井大学 寺澤秀一教授よりいただいたスライドより)

M&Mカンファレンス

 特に教育的に有効なのは「ツマヅキ症例を発表させること(M&Mカンファレンス)」だと言われる。M&MとはMorbidity and Mortalityの略。本来は治療の甲斐なく亡くなってしまった症例をプレゼンテーションすることなのだが、to err is human(人間とは失敗するもの)という原則に立って、当事者を批判するのではなく、システムのエラーを見つけて改善し、よりよい医療を患者に提供しようという目的のものだ。間違っても「どうしてそんなことをしたんだ!」と発表者を吊るし上げる“魔女狩り裁判”ではない。反省して症例に出しているのだから、そんな人間の頭を言葉のハンマーで殴るようなことをするのは成人教育とは言わない。殴った人だって沢山エラーをして許されてきているのを忘れてはいけない。こうしたことを、M&Mでは同意を得てからカンファレンスを開始する。エラーにはスイスチーズモデルと言って誰もが陥りやすいポイントがあるから、聞いている側も「もしも自分が当事者であればどうしただろうか」と思いながら聞くため学習効果が高まる。与えるだけでなく、与えさせるのも教育なのだ。

※スイスチーズモデル:チーズには無数の穴が空いているが、その穴が一直線上に並び前後貫通することは珍しい。穴を1つのエラーにたとえ、いくつものエラーの重なりが重大なアクシデントに繋がることを例えたもの。

ポイントの整理

  • (1)院外講師を招待しての勉強会の頻度を調べよ
  • (2)研修医主催の勉強会の頻度を調べよ
  • (3)M&Mの機会があれば是非見学させてもらおう

著者略歴

安藤 裕貴

所属:名古屋掖済会病院救命救急センター(2016年11月現在)

「人の命は地球よりも重い」そんな命を支える人になりたいと、医学を志した初心を忘れられず京都大学工学部中退。再受験にて富山大学医学部入学。平成20年、同卒業。初期研修中に「研修病院選び方御法度」(三輪書店)を出版。救急の現場で研修医指導をしながら、よりよい研修とは何か探り続ける。

安藤医師

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