【研修病院選び方 御法度・第6回】研修病院選びかた御法度 | m3.com 研修病院ナビ

研修病院ナビTOP > 研修病院選び方ご法度 > 【研修病院選び方 御法度・第6回】研修病院選びかた御法度

研修病院選びかた御法度

 今回からは研修病院を選ぶにあたっての具体論にいよいよ入っていく。心して読むように!まずは『これだけで選んだら後悔するよ!御法度シリーズ』だ。

 研修先を選ぶときみんなは何を基準に選んでいるだろうか。実際にはほとんどの人が口コミを頼りにしているのではないかと思う。インターネットを手元の携帯で操れるような情報化時代にあっても、頼りになるのは戦国時代や江戸時代と同じように知人からの情報ではないだろうか。なにせブラックボックス満載の病院というのは確かな情報をつかむのが難しいのだ。医療を巡る環境というのは医学、薬学、看護学だけでなく病院のおかれた立場、社会や行政、医局の壁、人間関係などといった人為的問題のほうが影響が大きい。複雑に絡み合うそれらの複合体が病院という組織なのだから、イメージや噂で作られた先入観だけで研修先を選んでいては、結局のところ後悔する羽目になってしまう。噂に騙されて病院選びに失敗した人の話も多く聞く。そこで、まことしやかに流れる研修病院選びの噂について検証していくのが御法度シリーズなのだ。

研修病院選びかた御法度その(1) 大病院だからイイ研修が受けられる!

 200床ぐらいの小規模の病院と800床もある大規模な病院での研修だったら単純にどちらを選ぶだろう。そりゃぁ、どんな診療科でもある大病院のほうがイイ研修ができるに決まってるでしょ!と思っているアナタ…。その選択の仕方は大変キケンだ。

 たしかに大きな病院になればなるほど設備や人的資源、モノもヒトもなんでもある。小規模な病院では揃えられないような施設もある。だからといってイイ研修ができると思うのは早合点だ。なぜキケンで早合点なのかというと、大病院には大病院ならではのピットフォール(落とし穴)があるからだ。

大病院での研修の落とし穴

 大病院といってもその実態は医局からの派遣医師で成り立っているのはご存知だろうか。ミニ大学病院と言っても過言ではない。そのそれぞれの診療科は各診療科医局からの派遣医師で構成されていて、大学の病院実習で感じたような医局の壁が存在する。これは大病院であればあるほど顕著だ。派遣元の大学が違えば、その壁の厚さたるやとんでもなく大きいこともある。この医局の壁というのが研修においては実に厄介なことを知って欲しい。研修病院には研修センター長という名前の役職がある。きみたち研修医の管理をしたり研修プログラムを作るのに中心になっている人物だ。センター長なのだから、研修医たちが今どこで何を勉強していて、どれぐらいの到達度にあるのかも全て把握しているんだろうなと思っていたら、実際には全然把握できていない。いや、これは把握できていないのではない、把握できないのである。

名ばかりセンター長

 なぜ把握できないのかというと、センター長といえども普通は◯◯科の医師(たとえば小児科とか)であって、あくまでも所属医局からの派遣でやってきた医師の1人なのである。するとどうだろう。消化器内科の研修ではもう少し腹部エコーの実技を研修医がさせて欲しい、それをきちんと指導監督して欲しいと言っていて、それをセンター長が把握できたとする。センター長はその場では研修医をなだめるのだが、消化器科の部長や責任者に「あの~、研修医からこのような注文が上がっていまして、なにとぞ改善のほどをお願いします」と言うことは、じつに難しいことなのだ。センター長と仲のいい診療科だったら言えるかもしれないが、もし仲のいい診療科でも、それがその後きちんと改善されたかどうかをチェックすることはできないのだ。想像して欲しい、研修センター長が自らの診療科を離れて消化器科で研修している研修医のもとへ行って消化器科の指導医がきちんと指導しているかをチェックするのなんて有り得ないでしょ。たぶん次からは注文が通らなくなるのは間違いない。医局の壁の厚さというのは、こういうところに出てしまうのだ。

小規模病院の研修のメリット

 では小規模病院だったらどうかというと、小規模病院の場合病院内の医師の詰め所(机があって本やPCを置いている場所)は大部屋になっていることが多い。医師の数も30人程度であれば年数がたてば誰が何科の医師でどれくらいのレベルの人かも把握でき、毎日顔を合わせていれば医師同士の気心も知れる。研修医が研修のことで困っていることがあれば、親身になって一緒に改善のための方策を診療科と練ることも比較的しやすい。これが実に大きなメリットなのだ。指導医の先生方というのは今の研修制度を受けていない世代がまだほとんどだ。研修医がどういうところでツマヅキやすいか、何に困ってしまうのかというのが全く理解できず、他の病院の研修も知らないので視野も狭まっている。改善してやりたくても、どこに根本的な問題があるのかが見えていないのも致し方ない。研修医に如何に身近で親しいところにいるかがセンター長にとっては大切なのである。

第7回へ続く

著者略歴

安藤 裕貴

所属:名古屋掖済会病院救命救急センター(2016年11月現在)

「人の命は地球よりも重い」そんな命を支える人になりたいと、医学を志した初心を忘れられず京都大学工学部中退。再受験にて富山大学医学部入学。平成20年、同卒業。初期研修中に「研修病院選び方御法度」(三輪書店)を出版。救急の現場で研修医指導をしながら、よりよい研修とは何か探り続ける。

安藤医師

全国の臨床研修指定病院のクチコミを見る

北海道/東北
関東
中部
近畿
中国
四国
九州